■ バランス・スコアカードとは
バランス・スコアカード(The Balanced Scorecard;BSC)は、ロバート・キャプランとディビット・ノートンが提示した「経営のカーナビ」とも言える経営のツールです。
「カーナビ」は、目的地までのルートや現在位置などを正確に示して、ドライバーが目的地に到達するのをサポートしてくれます。BSCもまた目標までのルートや現在位置を示して、経営者が経営目標を実現するのをサポートしてくれます。
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■ BSCの基本構造
キャプランとノートンは、伝統的な財務指標だけを業績の評価指標とすることに疑問を呈し、結果指標としての財務指標だけではなく、その先行指標である業務指標(オペレーション指標)とのバランスをとるべきだとし、そのアイデアを1992年に「ハーバード・ビジネス・レビュー」に発表しました。
「財務指標」と「業務指標」とのバランスをとる、これがBSCの基本的な考え方です。キャプランとノートンは4つの視点から検討を加えて戦略目標を実現することを提唱しました。その基本的な構造は下図のとおりですが、戦略と各視点、そして各視点同士がバランスしなければなりません。
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| <BSCの基本構造>
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| (キャプラン&ノートン「バランス・スコアカード」を元に作成) |
■ BSCの因果関係
BSCでは、「財務」は「顧客(満足)」の結果であり、「顧客(満足)」は「(卓越した)業務プロセス」の結果、そして「(卓越した)業務プロセス」は「(従業員の)学習と成長」からもたらされる、と考えます。BSCの4つの視点の基本的な因果関係は下図のように表わされます。
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| <BSCの因果関係> |
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| (キャプラン&ノートン「バランス・スコアカード」を元に作成) |
なお、キャプランとノートンは4つの視点を示しましたが、企業によっては、これ以外の視点を加えたり、あるいは別の視点と入れ替えたりすることも必要かもしれません。
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■ 未来から現在を考える
経営においては、「未来から現在を考える」のが基本です。すなわち、望む「目標(結果)」を導くためにどのような「手段(原因)」を実施すべきかを考えるわけです。
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その考えに従い、上記のBSCの因果関係の「結果」を「目標」、「原因」を「手段」に置き換えると、「使用総資本利益率の向上」が目標、そのための手段が「顧客ロイヤルティの向上」、「顧客ロイヤルティ向上」という「目標」を実現するための手段が「定時配送」というふうに続いていきます。
この場合、「使用総資本利益率の向上」が「上位目標」、それに対する手段である「顧客ロイヤルティ向上」は「上位手段」となります。そして、「上位手段」である「顧客ロイヤルティ向上」は同時に「下位目標」となり、その手段である「定時配送」は下位手段となります。
このようにして、「目標」と「手段」を明らかにしていくと、何をすれば目標地点に近づくことができるかを明らかにすることができます。
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■ BSCの構築
BSCは、次のようなステップで構築していきますが、BSCは「カーナビ」のように目標地点までのルートや現在位置を明らかにできるものでなくてはなりません。換言すると、目標地点までのルートや現在位置が明らかになるように構築していくのです。
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(1)戦略マップの作成
まずはSWOT分析などのツールを使って戦略目標を明確にするとともに、戦略目標を達成するために解決しなければならない課題を明らかにします。戦略課題が明確になったら、それらの課題を各視点に分類し因果関係で結んで、戦略目標に到達するためのロード・マップを作成します。これを「戦略マップ」といい、目的地までのルートを示します。
(2)重要成功要因の決定
重要成功要因とは、戦略課題を解決する上で決定的に重要な要因のことですが、同じ課題でも企業によって重要成功要因は異なります。例えば、「定時配送」という課題を解決するために、何が重要成功要因になるかは、企業によって異なるはずです。
(3)業績評価指標の決定
業績評価指標は、読んで字のごとく「業績を評価するための指標」ですが、それは「重要成功要因」として位置づけたものの実現度合いを示すものである必要があります。
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<BSC構築のステップ>
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財務的な指標である必要はありませんが、「カーナビ」のように「現在位置」を正確に示せるもでなければなりません。また、できるだけ単純で分かりやすく、測定が可能であることが望まれます。
(4)数値目標の決定
各業績評価指標について、数値目標を設定します。必ずしも数値目標でなくともかまわないかもしれませんが、少なくとも評価基準は示されなければなりません。
業績評価指標と数値目標は、ある時点で到達すべき位置を示すものです。実行してはみたものの、測定ができなかったり、評価基準が曖昧だったりすると、「現在位置」が分からなくなってしまいます。
(5)アクションプランの策定
数値目標まで設定できたら、最後は具体的なアクションプラン(活動計画)を策定します。このアクションプランは、いわゆる5W2H(Why、Who、When、Where、What、How to、How much)が漏れないように注意して策定します。
ここまでできたら、後はPDCAサイクルを回しながら、目標達成に向けて活動していくことになります。
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