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 経営の道具箱

K J 法


KJ法とは

 
「KJ法」は、川喜田二郎氏が野外科学の必要性から生み出した発想法で、1967年に「発想法(中公新書)」で紹介されました。同書でも述べられていますが、氏のイニシャルから「KJ法」と名づけられています。

 これは、「アイディアや調査結果などを
カードに記録し、相互に関連するカードをグルーピングすることを繰り返してカードの構造化を進め、構造化されたカード群の間に見られる関係を意味づけることによって、最終的なアイディアへとまとめていく方法」です。

 ちなみに、発想法とは、どのようにして仮説を思いつくか、その方法といってもよいでしょう。仮説の設定仮説の検証は、経営の根幹を成すものですから、その意味で発想法(「KJ法」に限りませんが)は経営に欠くべからざるものといえます。


KJ法のステップ
問題を定義する

 問題を解決するためには、まず問題を具体的かつ適切に定義することが必要です。ドラッカーが述べたように、「誤った質問に正しく答えても意味がない」からです。

 その上で
「必要と思われる」データ(「必要なデータ」だけではなく)を収集します。川喜田氏はデータ収集の過程を探検と呼んでいます。外部探検とは現場の観察、内部探検とは自らの頭の中にある見解やアイディアを吐き出すことです。

 なお、内部探検においては
ブレーンストーミングなどの拡散思考が必要です。

(注)問題そのものがはっきりしない場合には、そのこと自体を問題として取り上げます。KJ法は、問題が漠然としてはっきりと捉えられないような場合に、何が問題かを明確に描き出すのに有効な手法です。もちろん、問題解決のためのアイディアをまとめる場面でも活躍しますので、結構使える範囲が広い手法と言えます。

KJ法の基本ステップ

 KJ法は基本的に4つのステップからなります。

(1) カード作り

 探検により収集したデータのエッセンスをカードに記録していきます。もちろん、データの収集とカードの記録を同時に行うこともできます。このとき注意すべきは、過度に抽象化しないことです。川喜田氏の言葉を借りると、
「もとの発言の土の香りをなるべく伝えた一行見出し」にするよう注意するということです。

<KJ法のステップ>
(2) グループ編成

 作ったカードを集め、関連がありそうなもの同士をグルーピングしていきます。次にグルーピングの理由を自らに問い直しながら、カードのまとまりごとに「表札」をつけます。
 これで、いくつかのカードのまとまり(小チーム)ができます。次に、同じ手続で小チーム同士のグルーピングを行います。この作業を続けると、中チーム、大チームができ上がります。

 このグループ編成で注意すべき点として、川喜田氏は次の二点を挙げています。

 まず、必ず「小チーム編成」から「大チーム編成」へと進むということです。これは、既成概念に基づいてグルーピングしてはいけないということ、言い換えれば、あくまで
データの語るところに耳を傾けてグルーピングするということです。データの語るところに耳を傾け、異質なデータを組み合わせることにより、今まで気がつかなかった新しい意味を見つけ出すのが、「KJ法」の眼目なのです。

 もう一つは、小チームを作る時点でどのチームにも入れにくいカード(「離れ猿」)があっても、無理やり入れ込むことはしないということです。「離れ猿」はそれ自体に意味があり、いずれ中チーム、大チーム編成のいずれかの時点で無理なく入る可能性があるからです。

(3) 図解化

 まず、カードをどのように組み合わせれば論理的に最も納得がいくかを考えて、カードの空間配置を行ってみます。そして、その空間配置が表すものを図解します。こうして図解ができ上がって初めて、「今までばらばらであいまいであった雑多な事柄が、はっきり意味の構造として、『わかった』という感じで訴えて」きます。

 なお、空間配置が適切かどうかを確認するために、空間配置の意味するところを口でつぶやきながら説明してみます。説明がうまくいかなければ論理的に無理があるということです。

(4) 文章化

 最後に、図解したものを文章化していきます。
 文章化にあたっての注意点は、
事実と解釈を区分して表現することです。そして、解釈はデータに基づいて行わなければなりません。川喜田氏は、「大切なのは、その解釈が正しいかどうかではない。その根拠が正直なデータに根ざした発想か否かなのである。」と述べています。ここでも、データの語るところに耳を傾ける必要があるのです。


KJ法の実践
 KJ法を実践するに当たってまず注意すべき点は、単なるデータの分類に終わらせないということです。KJ法の主眼は、「相互に比べることのできない異質の一組のデータから、いかにして意味のある結合を発見することができるか。また、新しい発想を打ち上げることができるか」なのです。

 川喜田氏は次のようにも述べています。「われわれ人間という動物は、質的に互いに異なる一つのデータ群を、あまりに複雑なかたまりとして目の前に一度に提示されると、そこからなんの意味をも発見することができず、ただ混乱に陥るに過ぎない。ところが、複雑すぎず、相互に親近性は持ちながら、しかもある程度質的に異なる一チームのデータに接すると、事態は大いに異なってくるのだ。すなわち、我々はそれらのデータの組み合わせから、何らかのまとまったヒントを暗示されるのである。」

 なお、「発想法は、バカになって徹底的に実行してみなければ、決して『わかった』部類には入らない」とも述べています。これは、発想法に限らず、あらゆる道具に共通することです。使いこなすまでには相当の訓練が必要です。しかし、だからといって使うことを躊躇していては、使いこなせる日は永遠にやってきません。


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